月向農園について

なぜ「薬剤」は必要なのか?

3月末~4月は、
梅の薬剤(農薬)
散布の時期です。

梅の木もいろいろな
病気にかかったり、
虫にいじめられたりします。

ですから
木の健康を守るため、
最低限の予防が
必要となります。

人間で言えば、
予防注射をしたり、
虫除けスプレーを
使うのと似ています。

梅の幼果

山の尾根にある月向農園は、乾燥気味なので、カビの病気にかかりにくいのです。
園の一部を除いて、周辺の農地から隔離しているため外部からの農薬の飛来も、
ほとんどありません。これらは、園の立地条件のおかげです。

最近、市販されている農産物の中には
「殺虫剤1回、殺菌剤2回」などのように
「農薬の使用回数を明記したもの」を見かけるようになりました。

農家同士でも 「今年は何回消毒(農薬散布)した?」
「うちは、5回やったで。」 「へ~!少ないな~!!」
こんな調子で、常に「散布回数」が話題になります。
でも、この回数が少なければ 安全というわけではないのです。

回数はもちろんですが、
どんな種類の農薬を、どれくらいの量、
どんな方法で、いつ散布したのかも
重要なんですよ!

例えば・・・「使用する農薬の種類」
(どんな成分から出来ているのか?その性質など)
によって安全度が大きく異なります。

農薬は水で薄めて散布されるため
「薄める濃度」によって使用量が異なってきます。

そして「散布する方法」
(スピードスプレヤー・手散布・スプリンクラー)
によっても使用量が大きく違ってきます。

「使用時期」では、散布~収穫までの期間が短い場合、
残留農薬の危険性も出てきます。

でも、これだけの情報を
皆さんが「正確に知る」のは、とても難しい事ですね。

私は園主として、実際の農園の取り組みを、
ありのまま皆さんに伝えて行きたいと考えています。

野菜などと違い
梅の木は、小さな苗を植えてから、
何年もかかって一人前の樹となります。

無農薬でも栽培はできますが、
25年以上、梅の樹と共に暮らしていくためには、
人間と同じように、
その年々適切な処置が必要なのです。

散布の方法

スピードスプレイヤー
(園地約7割の梅樹の主治医)

スピードスプレイヤー

この赤い車が、薬剤散布用のSS君(スピードスプレヤー)。
農園の「走る!お医者さん」です。霧状のとても細かい噴霧が作れるので、使用する薬剤量が少なくて済みます。

テントウムシ

「似てるよね~?やっぱり似てる!」テントウムシを見ると、いつもそう思うのです。テントウムシは害虫を食べる益虫です。 そして我が家にも、梅の木を病害虫から守るSSくんがいます。

出動だ

気合を入れ、5時に目覚ましを合わせたけれど、いざ起きてみると外はまだ真っ黒・・・ 待つこと30分(じつは寝てただけ)5時半に出動です!朝夕の風の弱い時間帯がねらい目なのです。

手散布
(残り3割は体力勝負!)

手散布

SSくん(スピードスプレイヤー)が入れない斜面の畑では、こんなふうに手作業で薬剤散布をします。 急斜面の梅畑を、ホースを引っ張りながら、樹から樹へ移動するのは、はっきり言って体力勝負! 時々、草に足をとられ、滑って転ぶことも・・・ア痛テテ・・・ちなみに造成前の昔の梅畑は、すべて「手散布」でした。

梅の病気と害虫

カイヨウ病

「この黒い点は、なに?」はい、これがカイヨウ病です。
カイヨウ病にかかった梅の実には、画像のように、胃潰瘍のような病班が出ます。
一般的には、ボルドー剤の他に、抗生物質を使ってこの病気を防ぎますが、
月向農園では、抗生物質を一切使用しません。
そのため、カイヨウ病の発生は、ある程度、覚悟しなくてはなりません。

カイヨウ病

ウドンコ病

ウドンコ病にかかった梅の実は、表面に白い粉が噴き、
放っておくと、その部分が、しこりの様に固くなります。
春先から雨が少ない年は、ウドンコ病が多発します。
月向農園の梅畑のように、標高が高く乾燥気味の園地に発生しやすい病気です。

ウドンコ病

スス病

スス病にかかった梅の実には、ススのような黒い模様がつきます。
スス病はカビの一種で、雨天が続くと発生します。
梅雨の時期に、身の回りがカビっぽくなるのと一緒です。
この病気を防ぐため、一般的には収穫直前や収穫中に農薬を散布するのですが
「食べる人」のことを考えると、僕にはこの時期の散布はできません。
スス病は、梅の品質には まったく影響ないのですが、外見は お世辞にも綺麗とは言えません。
そして梅干に漬けても、残念ながら、この黒っぽいシミが消えることはありません。

スス病

アブラムシ

アブラムシが付いた葉先は、チリチリになってきます。
放っておくと葉が十分開かず、樹勢まで弱くなります。
枝の先端部に生長点があり、栄養分がたっぷり支給されています。
問題は、この栄養分を狙って、アブラムシが集まってくることです。
私は「来るな!」と いつも脅かしているんですが、きっと美味しいんでしょうね。

アブラムシ

コスカシバ

「願いがかないますように」おみくじを枝に結んで・・・じゃなかった、
これは梅の幹や枝に侵入して木を枯らす害虫コスカシバの繁殖を抑えるフェロモン剤なのです。
オスがこのフェロモン剤に惑わされて、メスの居場所がわからなくなるというものです。
もちろん、これは有機農産物に使用可能な剤ですよ。
以前は食害のある部位に、殺虫剤を塗っていたのですが、
害虫より先に栽培家のほうが、殺虫剤の匂いでクラクラしてました。
一本の樹に一個。「コスカシバが増えませんように」と、願いをかけます。

スカシバコン
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