梅の一年
梅の子育て
花の終った梅の樹には、
たくさんのちいさな生命が宿ります。
梅の肝っ玉かあさんの
子育て奮闘記を、
ちょっと覗いてみませんか?
梅の一年
梅のお花見
1月下旬、日本一の梅の里
和歌山県みなべ町に
ひと足はやい春が訪れます。
山々が、梅の花で薄化粧した様に、
ほんのり白く染まります。
あなたも一緒に、
お花見に出掛けませんか?
ダイジェスト版
梅の一年
梅は百花に先駆けて咲き、
真っ先に「春」を知らせてくれます。
ここでは、移りゆく「梅の四季」と
梅郷での暮らしを紹介します
梅の子育て日記
赤ちゃん誕生
花の終った梅の樹には、
たくさんのちいさな生命が宿ります。
風が吹くたび、散ってゆく花びら。
地上に舞い降り、最後の輝きを放ちます。
花びらの赤い模様は、雨のいたずら。
ガクの色でこんなふうに赤く染まるのです。
受粉を手伝ってくれたハチ達が、
養蜂家の元へ返る日。
巣箱を車に積み込み「お~重い!」
次はどこへ行くのかな?元気でね p(^^)P
「白い花が終わると、赤い花が咲く?」
そんな上手い話はないですが、
樹に残った、赤いガクに光が当たると
紅い花が咲いているように見えるのです。
2月下旬~3月上旬。日中気温17度。
暖かい春風に目を覚ました梅の樹たち。
「ニョキニョキ 竹の子みたい!」
花の付け根には「葉になる
小さな芽」が見えています。
3月中~下旬。ガクの中をよく見ると
・・・わかりますか?
恥ずかしそうに顔をのぞかせている、
梅の実が。
まだ、ガクやオシベをつけたまま。
本当の赤ちゃんですね!
あと10日程すると、この赤いマントを
脱いで独り立ちするのです。
やにこ~(とても)小さい梅の赤ちゃん。
葉っぱの神秘
冬の間、眠っている様に見えた梅の木々に
確かな 生命の息吹・・・
枝々では「葉」になるちいさな芽が、
元気に伸びをはじめました。
赤い衣(ガク)の中で、出番を待っていた
実達も、その衣を脱ぐ準備をはじめます。
お日様に向かって、思いきり背伸び。
3月下旬 芽吹きの季節
梅の木の枝々が、
ほんのり若葉色に染まります。
葉の芽も、ムクムクと目を覚まし・・
梅の樹を、若葉で包み込みます。
その様子は、まるで魔法のようです。
ガクとオシベを脱ごうとしている幼実。
ほら、頑張れ!もう一息だ!!
産毛が、生まれたばかりの
初々しさを感じさせます。
実1号「おいおい、押すなよ」
実2号「そっちこそ、あっちへ行けよ」
実3号「ま~まぁ、仲良くやろうぜ」
そんな会話が、聞こえてきそう。
この時期、可愛い姿が、
あちらこちらで見られます。
新緑の季節
4月上旬、ムクムクと伸び出した若葉。
すっかり新緑に包まれた梅の木々。
新梢(しんしょう)も、
力強く伸びはじめました。
新梢(しんしょう)とは、
今年新たに伸び出した枝のことです。
バラの枝に、似ているでしょう。
「梅」は「バラ科」の植物なんですよ。
「ボキッ!!痛!」
これから伸びようと思ったのに、
折れちゃったよ(T_T)風のバカヤロー
生まれたばかりの新梢は、
木質がまだ弱く、風に耐えきれず
折れてしまうことがあるのです。
梅の実も、こんなに大きくなりました。
そろそろ、赤ちゃん時代も卒業かな?
肥料を撒きながら、
「元気に大きくなれよ!」と
エールを贈ります。
4月中旬。梅畑は一面「緑の世界」
ほら、だいぶ梅の実らしくなったでしょう。
表面には、細かい産毛が、
びっしりと生えています。
梅の実はまだ「種」ほどの大きさですが、
畑に一歩足を踏み入れると、青梅特有の
「いい香り」が漂ってきます。
4月下旬。
葉っぱの先まで、満ちあふれる生気。
乗用草刈樹からの眺め。
梅に負けず、草も育ち盛り。
毎日の草刈りは、欠かせません。
生まれたての実を覚えてますか?
トンガリ型でしたよね。
あれから1ヶ月余り・・・
ほら、丸々と
梅の実らしくなってきたでしょ。
自然の掟
5月上旬。梅の木の足元に、
たくさんの幼実が落ちています。
「えぇ~!!強風で実が落ちたの?」
・・・どうぞ、ご心配なく。
子沢山の(実が生りすぎている)樹は、
バランスをとるために、
自分で実を落とすのです。
この現象は「生理落下」と呼ばれます。
詳しくは、こちらをどうぞ・・・
樹を見ると、既に黄色くなっている実が
あります。かわいそうですが、
この実も落ちてしまいます
樹は子育てに専念できる様になり、
落ちた実も土に還り栄養になります。
収穫まであともう少しなのに
「もったいないな~」と思ってしまいますが、
無くてはならない生理現象なのです。
まだ幼い(小さな)樹は、
木の成長を優先するため、
手作業で梅の実を落としてやります。
一年一年、年輪を重ねる毎に、
しっかりと実を支える幹。
その木陰は、ひんやりとして良い気持ち。
農作業の合間、束の間のオアシス。
「二酸化炭素を吸ってー、酸素を吐いてー」
「お日様の光がほしい、雨もほしい」
葉っぱ達は、一年中で最も
光合成の盛んな時期を迎えました。
これからたくさんの実を、
養わないといけないものね。
ガンバレーp(^^)P
5月中旬。お母さん(樹)の葉陰で、
スクスク育つ子供(実)たち。
照りつける強い陽射しや、
時折吹く激しい風から、
お母さんがやさしく守ります。
この頃になると、実も大きくなってるので
「重たくないかい?」と
梅の木に声をかけたくなります。
やがて訪れる「雨の季節」を、
心待ちにしながら・・・
紅に染まる瞬間
5月下旬。
梅畑は見渡す限り「緑の世界」。
青々と繁った樹の懐(ふところ)には、
鈴なりの子供達の姿。
樹の下から見上げると、
その様子がよく分かります。
「ねーえ、ちょっとは焼けた?」
「まだまだ、これからよ。
そういう後ろのあなたはどうなの?」
「ほんのちょっとだけね・・・そういえば、
明日からまた雨だって(T_T)」
お日様の光を浴びると紅く染まる南高梅。
葉っぱの日傘を持たない梅だけが
「紅南高梅」になれるのです。
ほら、少しずつ・・・すこしずつ・・
ほんのりと色付いてゆく梅の実たち。
「あれ?何か探し物でも??」
「あっ、あった~!!」
お日様の祝福を受けて・・・南高梅が
ほんのり紅色に染まりはじめました。
天気さえ良ければ、これから日を追うごとに
「紅色」も鮮やかさを増していきます。
お日様色の梅酒を仕込めるのも、
もうすぐです。
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