梅の一年
梅の天日干し
6月に収穫・塩漬けした梅を、
8~10月に天日干しします。
俗に言う、土用干しですね。
お日様の恵み(日光浴)で、
いよいよ梅干に変身します。
梅の一年
梅のお花見
1月下旬、日本一の梅の里
和歌山県みなべ町に
ひと足はやい春が訪れます。
山々が、梅の花で薄化粧した様に、
ほんのり白く染まります。
あなたも一緒に、
お花見に出掛けませんか?
ダイジェスト版
梅の一年
梅は百花に先駆けて咲き、
真っ先に「春」を知らせてくれます。
ここでは、移りゆく「梅の四季」と
梅郷での暮らしを紹介します
梅酢から目覚め
6月に収穫・塩漬けした梅を、
8~10月に天日干しします。
俗に言う「土用干し」です。
農園では、いちばん暑い
7月下旬~8月中旬には
天日干しを行いません。
なぜって、
「暑くて仕事にならないから」
・・・と言うのは冗談ですよ。
お日様の日差しがキツすぎて、
綺麗に干し上がらないからです。
これホント、ほんと。
梅倉にずらりと並んだタンク。
この中に、塩漬けされた梅の実たちが
眠っています。
タンクの下半分は、
床から下に埋まっているので、
こう見えても、深さは150cmあります。
タンクの蓋を開け、
被っていた布をそっとめくると、
まだ眠そうな梅の実たちが、
顔をのぞかせます。
「さぁ、みんな、起きる時間だよ~!」
一ヶ月半の眠りから目覚める梅達。
梅酢の中から引き上げられ、
これから日光浴の準備です。
さて、一番乗りするのはどの子かな?
では、さっそく梅を引き上げてみましょう。
まず、ザルに梅をすくい、均等にならします。
和紙の紙スキに似ていますね。
リズミカルに梅をすくうのがコツです。
梅と塩だけで、
こんなに梅酢が出てくるのです。
(梅2700kg・塩500kgから、
約800リットルの梅酢ができます)
次に、軽く水洗いし不純物を取り除きます。
南高梅は、とてもやわらかいので、
皮を破らない様に注意して作業しますが、
うっかり破ってしまうこともあります。
A級品の梅が、一瞬のうちに
D級品になってしまいます。
出来たものから、パレットに乗せます。
日光浴スタート
いよいよ梅の実たちの天日干し開始です。
梅たちがならんだザルを
干し場のハウスに運びます。
僕が子供の頃、天日干しといえば、
「雨が降ってきた!」と大騒ぎしながら、
急いで梅に雨がかからないよう、
ビニールをかけて走り回ったものです。
今は大きなハウスのお陰で、梅たちは安心。
子供達も、のんびりしていられます。
梅酢の中に、涼しげに漬かっていた梅達も
一転、気温30度以上のハウスで日光浴。
ザルをどんどん並べていきます。
「梅干し」 というより、
まだみずみずしい果実のままの梅実たち。
これから、ダイエットすること3~4日。
フルーティーな香りの梅干に仕上がります。
さあ、しっかりと汗をかいて、
カッコ良い梅干になーーれ!
天日干し・ひっくり返し
う~ん、やにこーいい香り。
ハウスの中は梅の香りが充満しているので
入るの大好きです。
う~ん、甘酸っぱいイイ香り。
これだから天日干しは止められません。
まぁ、中毒みたいなもんです。
・・・ま、冗談はさておき
日光浴真っ最中の 梅実たちはというと
表面に、すこし塩が吹いてきましたね。
ちょっと余談ですが、梅干し作りの質問に、
「天日干しをしているのですが、
白い粉のようなものが吹いてきました。
これはカビでしょうか?」
というのがたまにあります。
「ご心配なく。それは塩ですよ^o^」
梅の実全体に、まんべんなく
日光を当てるため、裏返します。
天候にもよりますが、晴天なら
「大粒で2日、中粒で1日半」
ほど経つと、反しごろとなります。
じゃあ、そろそろ反しましょうか。
まずは、梅にネットを被せます。
青いネットは、梅を傷つけないで、
スムーズに裏返しをするためのものです。
そして、板を使って裏返します。
梅をこぼさないようにね。
ほら、こんな風に梅を挟み込んで
くるりと反転させます。
コツがいるので、慣れるまで大変です。
「ヨイショ !!」
反転したザルを、
すばやく空のザルの上に乗せます。
そして、板を引き抜くと、裏返し完了です。
梅を入れたザルは、約5kgあります。
軽そうに見えても
結構、力が要りますよ。
裏返した梅たちには、ほら
ザルの網目がついていますね。
これから更に、1日ほど日光浴は続きます。
天日干しの時期は、
朝の梅返しが日課になります。
ほんのり汗をかくので、
気持ちがいいですよ。
朝のジョギングみたいなもんですかね。
天日干し・変身完了!
梅の香りが、う~ん最高!
この香りの効果でしょうか、
昔から、炎天下の天日干しで、
倒れた人はいないと聞きます。
そういえば夏バテになる梅農家さんも
いなさそうです。
これもウメパワーのご利益かな。
僕も、もちろん作業中に倒れたことはないですが、
作業後にクーラーのきいた部屋に戻ると、
「気持ちイイ!」・・・バタン・・
と倒れてしまうことがあります。
これには、梅の香りも効果がないようです。
お日様の恵みを浴びて、
梅の実達は、順調に梅干に変身中。
「私は何をやってるのかって?」
固いのや破れたりしている梅を
選り分けているのです。
朝夕の涼しい時間にね(^○^)
梅たちも、大分いい感じになってきたね。
さて、取り出したるは糖度計。
これで梅の乾き具合を調べます。
梅干しの果肉を ちぎって乗せるだけ。
中を覗くとホラ!
33~34パーセントぐらいになれば
ちょうど良い干し上がり。
「えっ!糖度30%の梅干?
ムチャクチャ甘~いの???」
・・・そんなわけないでしょ。
この数値は、
果肉の水分量と相関性があるため、
簡単に干し具合が解る機器として
使われているのです。
重量を目安にするなら、
梅の重さが、
干す前の65パーセント前後に
なれば、梅干し完成です。
乾き過ぎないうちに、
干し場から梅を引き上げます。
10月も末・・・
そろそろ天日干しも終わりです。
秋に天日干しをする利点は、
空気が乾燥していて、
風もよく通るので、
夏場のように高温で蒸して乾かすよりも、
梅本来の果実の風味が残るのです。
オマケに・・・
夏場に干すと、ちょっと目を離した隙に、
乾燥し過ぎることがありますが、
秋なら大丈夫(^^)。
最近、特に夏場に干すと こんがり赤黒く
日焼けし過ぎることがあります。
・・・人にも梅にも
「暑すぎる夏」のようですね。
さぁ~今年の天日干しも、コレで終わり!
ふたたび眠りの時
天日干しを終えた梅干たちは、
一粒ひとつぶ手作業で選別されます。
皆さんのところに嫁いで行く
A級品(極上・家庭用)
B級品(料理用)
そして、畑に返される格外品の
3種類に分けられます。
「ほんまに、ええ香りやわー。
梅を選別するこの仕事は、
いくつになってもできるんやで。
おまけに梅の香りを、
いっぱい吸い込むさかい、
身体の調子がいいんや。
私の元気の秘訣やなぁ。」
一見、楽そうに見えますが、
肩の凝る仕事です。
そのため、おじいちゃんは、
ここにはめったにに近づきません。
選別された梅は、等級ごとに詰められ、
ふたたび「熟成の眠り」に就きます。
いかがでしたか?
こんな風に「梅」が「梅干し」に
変身するのです。
天日干しが終わると、
農園はいよいよ冬支度。
農機具たちが 暖かな冬を過ごせるように
干し場は越冬倉庫に 変身します。
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