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スペシャル対談

手作り梅酒の秘訣

「梅酒蔵人」いわゆるプロの視点から、
梅酒の作り方のコツを直接うかがいました。

φ(..)メモメモ

準備

梅仕事を始めるその前に・・・
忘れちゃいけない!梅の下ごしらえ。
用具は揃いましたか?
準備万端、整えて・・・
さあ、始めましょう!

梅酒

梅酒

梅仕事の中でも、材料さえ揃えば、
誰でも手軽に漬けられる「梅酒」。
梅の有効成分がじっくりと溶け出して、
自分だけの「味」が作れますよ。

梅干し

梅干し

一粒一粒「健康のために・・・」と、
家族への愛情がこもった梅干しは絶品です。
作る人によって、微妙に味が違う
といわれる「梅干し」。
貴方も漬けてみませんか?

梅シロップ

梅シロップ

梅と砂糖から生まれた果汁を、
煮詰めれば梅シロップの出来上がり。  
甘くてさっぱりした、
梅の「元気の素」を召し上がれ!

梅ジャム

梅ジャム

さわやかな梅の酸味が
たまらない梅ジャム。
キッチンが梅のあまい香りで満たされ、
幸せな気分です。

梅肉エキス

梅肉エキス

梅の果肉をすりおろし絞った汁を、
じっくり煮詰めて作る「昔からの家庭薬」
疲労回復・食あたりなど、
万能薬として重宝します。

梅酒

スペシャル対談
「手作り梅酒の秘訣」

中野BC㈱
梅酒蔵人
山本佳昭

梅の月向農園
園主 月向雅彦

次々と新しい感覚の梅酒を生み出し、
2007年の全国梅酒大会では見事グランプリ。
2008年には二品が入賞と、梅酒作りでは
常にトップクラスの中野BC(和歌山)が、
ベーシックながらも、梅の実にこだわった
新たな梅酒を作るために、当園の梅を仕込みました。
それを担当してくれたのが、梅酒蔵人の山本さんです。
「梅酒蔵人」いわゆるプロの視点から、
梅酒の作り方のコツを直接うかがいました。

次々と新しい感覚の梅酒を生み出し、2007年の全国梅酒大会では見事グランプリ。
2008年には二品が入賞と、梅酒作りでは常にトップクラスの中野BC(和歌山)が、ベーシックながらも、梅の実にこだわった 新たな梅酒を作るために、当園の梅を仕込みました。
それを担当してくれたのが、梅酒蔵人の山本さんです。
「梅酒蔵人」いわゆるプロの視点から、梅酒の作り方のコツを直接うかがいました。

第一回「はじめに・・・」

月向農園 園主 月向

昨年の仕込みから、
もうすぐ一年になりますが、
梅達が大変お世話になってます。

中野BC 梅酒蔵人 山本

こちらこそ、
いろいろ無理な注文をお願いしました。

実のエキスの抽出がほぼ終わり、
いい具合に仕上がっていますよ。

色と風味を官能させて頂きました。
色に深みがでてきて、目を閉じて、
スーッと鼻から染み込むような香り。

早く飲んでみたいですね。

香りがすごいでしょう。

色の深みといい、
やはり梅の実の品質の違いですね。

いえいえ(テレ笑)
・・・ありがとうございます。

あらためて、梅酒作りの
奥の深さを感じさせられました。

でしょ(笑)

さて今日は、
その奥義の公開は無理でしょうが、
家庭での梅酒の作り方のポイントを
お話しいただければと思います。

はい、いいですよ。

私も家で漬けてますから。

ところで家庭なら、だいたい
4リットルとか8リットルのビンですが、
中野BCさんのあの巨大な梅酒タンクは
何リットルあるんですか?

梅酒タンク


あれはね、
一本
22,000リットルです。

へぇー!

4リットルビンで5500本分を
一度に仕込む訳ですね。

上から見ると

ちなみに上から見ると
こんな感じです。

口径は80センチ。
ここから全部の材料を
入れるんです。

梅酒作りは、
容器が大きくても小さくても
基本は同じですよ。

今日は、その基本のところを
ひとつお願いします。

はい、よろしくお願いします。

第二回「梅の実の選び方」

月向農園 園主 月向

「梅酒を作るときに、
どんな実を選んだら良いのか、
教えてください。」
って質問が、真っ先に来るんです。

中野BC 梅酒蔵人 山本

はい、はい、、、

でもね。 スーパーなどの量販店では、
青梅もビニール袋に入れて売られているから、
よく見えないんですよね。肝心の梅が。

なかで蒸れちゃってる場合もあるしね・・・
とても実の色ツヤまでわからないんですよ。

蒸れちゃうのは、良くないですね。

梅の実は、とにかく足が早い
(鮮度が落ちるのが早い)ですしね。

そこで、青梅を買うときには、
「できるだけ大きい実を選ぶこと」
サイズでいうと2L以上というヤツです。

果肉と果汁もたっぷりありますしね。

うん、うん。
梅酒を楽しむなら、
大きな実がいいですね

そして、未熟な実を避ける意味でも
「店頭に出回りはじめても、
あせって直ぐに手を出さないこと。」
この2点を、まず薦めています。

うん、そうですね。
あと、漬けた実を食べたいという方には、
ちょっと意外ですが、
食感がよい小さな実もおすすめです。

もちろん、未熟果ではないヤツね(笑)。

おっ、なるほど!
小さな実は未熟果の確率が高いので
あまり薦めないんですけど、
ちゃんと用途はあるわけですね。

勉強になりました。
見分けるのが難しそうですけどね(笑)

あとね。 店頭に陳列されている状態で、
「シワがなく、ツヤがあって、みずみずしい梅」を
選べばもちろん良いわけなんですが・・・
なんと言っても重要なのは
「キズの無い梅を選ぶ」ことなんです。

はい、そのとおりですよね。

ところで、キズにもいろいろありますが、
具体的には、どんなキズでしょう?

収穫より かなり以前、
まだ若く小さな実の頃に付いたスリ傷や、
癒えてカサブタ状態になった
小さなキズはまだ許せます。

はい、、、なるほど。
じゃあ、許せないキズって
どんなキズなんですか?

とても大きなカサブタだったり、
収穫時や、その後の生傷はよくありませんね。

そんなキズがある実は、梅酒に漬けないで、
他の用途に使ってくださいね。

うん、うん。
ポイントですね。

実のキズは、味はもとより、
梅酒独特の色の仕上がりに、おおきく影響します。
透き通った綺麗な琥珀(こはく)色に仕上げるには、
キズの無いのがベストなんです。

うん、うん。そういえば・・・昔ね。
梅のエキスを早く抽出したくて、
実に何箇所か穴を開けたりしました。

そうすると見事に濁った記憶があります。

あはは(笑)
やっちゃいましたか。

うちのお客さんからも、
「梅の軸を取ろうとして、竹串で傷つけちゃいました。
 漬けても大丈夫でしょうか?」という心配そうな質問を
時々いただくのですが・・・これはどうなんですか?

その程度なら大丈夫でしょう。

なるほど。安心しました(笑)
ところで、梅の収穫期間は約1ヶ月あるわけですけど、
「梅酒に適した実の熟度」って、あるのでしょうか。

適期を外れた「未熟な実」や「熟しすぎた実」は、
良くないですよ。当たり前ですけど(笑)。

フレッシュな青い梅には、初々しい味わいがあり、
熟して少し黄色がかってきた梅には、
芳醇な香りが加わってきます。

僕の農園では、梅酒用に
青くて瑞々しい「フレッシュ南高梅」と
木で熟した「樹熟南高梅」を、販売していますが、
それぞれに、良さがあるということですね。

そうです。
いろいろチャレンジしてみると
楽しいと思いますよ。

では、梅の品種的には、どうでしょう。
おすすめは、ありますか?

うちの蔵では、
「南高梅」ひとすじなので・・・(笑)

やっぱり、
みなべ産ですか?(笑)

(笑)そうですよ。

和歌山には、他にも「古城(ごじろ)」
という代表的な品種がありますが、
そちらはどうでしょう。

古城はねぇ、
実を食べた時の食感が良いですよ。
南高梅にはない持ち味ですね。

なるほど。
他にも日本各地に、
「鶯宿」とか「白加賀」とか
いろいろな梅の品種があるので、
その違いを楽しむのも良いですね。

はい。 それも手作り梅酒の楽しみですね。
それと、僕が言うのもヘンなんですけど・・・(笑)

えっ、なんでしょう?

なんといっても究極の醍醐味は、
「木になっている実を、
自分の手でもいで、
その実で梅酒を漬ける!」
まさに、それではないでしょうか。

御意!!

第三回「アク抜きについて」

月向農園 園主 月向

手作り梅酒を作るとき、
まず最初にする作業が、
梅の実の「水洗い」と「アク抜き」です。

中野BC 梅酒蔵人 山本

はい。はやく仕込みたくて
ワクワクしますが、
その後の成功と失敗を分ける、
大事な作業ですよ。

「アク抜き」について、一般的には
「一晩とか4~8時間、梅を水に浸ける」
と書かれたレシピが、もっとも多いんです。

ええ。ビンを買うと、
一緒にレシピが付いてますしね(笑)

そうですね(笑)
梅酒作りのトラブルを聞いてみると、
じつは、このアク抜きの段階での
トラブルが、一番多いんですよ。

はい。

スーパーで買った梅や
知り合いからもらった梅を、
レシピ通りに一晩水に浸けていたら
茶色くなっちゃった、というやつです。

はい、はい。

原因は、
梅の実が痛んでた場合が多いんです。
痛んでいなければ、水に浸けても
茶色くならないわけですし・・・。

たしかに、
茶色くなるのはいただけませんね。
でも、梅を水に浸ける時間には
あまり神経質にならなくても良いと思いますよ。

・・・といいますと?

それよりも、
うちの蔵で重要視するのは「水切り」です。
水洗いやアク抜きの後に、
とにかく、しっかり水分を乾かすこと!

へえ~、
「アク抜き」よりも、
「水切り」がポイントなんですね!

そうです。梅の実の表面を、
高い濃度のアルコールに、
しっかり触れさせるためには、水は大敵です。

しっかり水切りした後の梅を仕込むのが
最も大事なんですよ。

はい、なるほど。

「水切り」といっても、
天日で乾かすと梅が痛みますから、
長時間は危険ですよ。
気をつけてくださいね。

水切りで、梅が痛んじゃったら
笑えないですよね。

梅を痛めないように、半日陰~日陰で、
乾かしたほうが良いですね。

そうですね。

僕の農園では、梅の熟度によって
アク抜きを薦めていない
梅もあるのですが・・・。

はい。
適期に収穫された梅なら、
水洗い後、アク抜きはしなくてもOKですよ。

ただし、水切りだけはしっかりしてくださいね。

「梅酒の作り方を、調べれば調べるほど
どうすれば良いのかわからなくなる・・・」
という方がおられます。

少なくとも、
梅の痛み具合や熟度がわからない時は、
長時間のアク抜きは危険ということですね。

はい、そういうことです

第四回「砂糖とアルコール」

月向農園 園主 月向

さあ、梅の実の下ごしらえも出来たので、
いよいよ梅酒の仕込み作業ですね!

中野BC 梅酒蔵人 山本

はい。いよいよです!
殺菌したビンに梅を入れて、
次に「砂糖」と「焼酎」を加えていきます。

梅酒の材料の分量として、一般的には
「梅1kg ・焼酎(35度)1.8L ・砂糖1kg」
と書かれたレシピが、もっとも多いんです。

はい、そうですね。

これが基本といわれるのは、
一番失敗しない分量(比率)だからです。

へぇ~、そうなんですか。

でも、砂糖を1kg入れちゃうと、
正直けっこう甘いですよね。

ですね(笑)。

実際、皆さんからよく聞く声としては、
「レシピ通りに作ると甘いので・・・」とか
「市販の梅酒は甘いので・・・」とか
「自分で作るのだから砂糖を抑えて作りたい!」
という方が多いのですが。

その部分は好みによるところですね。
ただ、経験上、
「誰かに飲んでもらいたい」と思う場合には、
最低でも500gは入れていただきたいです。

いわゆる「万人受け」というやつです。

そうですね。
たまに「砂糖なしでできますか?」って
相談もありますが、これってどうなんでしょう?

砂糖が少ないと梅のエキスは十分抽出されません。
それに、酸味が同じでも
甘味が少ないと、よりすっぱく感じられます。

梅酒もあまり砂糖を少なくすると
なんじゃコレって味になりますよ(笑)

試しに、僕も砂糖なしで
作ってみたことがあるんですが、
確かに、なんじゃコレでした(笑)

でしょ。

さて、話はちょっと変わりまして、
店頭でも、いろいろな種類の砂糖が
手に入るようになりましたが、
未だに「梅酒には氷砂糖」が定番ですよね。

これも、
一番失敗がないからですね。

氷砂糖は、溶けるスピードが
梅酒を漬けるのに丁度良いと
よくいわれますよね。

溶けるスピードというよりも、
一気に溶けないので、
強いアルコール度数の状態で
梅の実がしっかり殺菌されるからです。

なるほど!

逆に、溶けるのが早い砂糖を使うと、
アルコール度数が早く下がり、殺菌力が弱まります。

また、液比重の関係から、
梅の実がポッカリ上に浮いた状態になります。

よく、「分量通りに入れたのに
梅の実がポッカリ浮てしまった。」
と相談されるのですが、これは
砂糖が一気に溶けたからですね。

はい。
溶けやすい砂糖を使いたい場合は、
仕込み終えたあと
すぐに全体をかき混ぜないのがポイントです。

なるほど。ちなみに、
最も失敗しやすいのは
どんな砂糖ですか?

「水アメ」です。
水アメには、当然水分が多く含まれて
いますので、焼酎を入れても、
アルコール度数が低くなるからです。

もちろん梅も浮きますしね。

そうなんですか。

水アメ、もし使われるかたは
気をつけてくださいね。

そうですね。できるだけ
「水気を含まない砂糖」を
使う方が安全ですよ。

水気を含まない砂糖といえば、
一般的なグラニュー糖とかは
どうなんでしょう?

グラニュー糖はクセがありませんし、
梅の味を邪魔しないので良いと思いますよ。

さて、お砂糖以上に
皆さん凝るのが「お酒」ですよね。

でも、初めて作るときって
ホワイトリカーが王道じゃないですか。

はい。
ホワイトリカーのように、
アルコール度数が35度あれば
まず失敗しませんからね(笑)。

初めての方には、特にお勧めです。

梅酒は、何度か作るうちに、
ホワイトリカー以外のいろいろなお酒を
試してみたくなるんですよね。

はい。そうですね。
銘柄はお好みで選んでもらって良いのですが
どんなお酒を使う場合にも、
「アルコール度数」には、くれぐれも注意してくださいね。

はい。
アルコール度数がポイントですね。

ホワイトリカーは35度ですが、
お店で見かける
焼酎の主流は25度なんですよね。

はい。
特にアルコール度数の低いお酒を使う場合には
注意が必要ですよ。

「しっかり水切りをした梅の実」と
「砂糖」をビンに入れてから、
梅の実に、しっかりかかるように、
上からお酒を回すように注ぎ入れるのがポイントです。

これは35度以上のお酒を使う場合も同じですよ。

失敗しない手順、黄金律があるわけですね。

はい。
基本をしっかり押さえた上で、
いろいろな砂糖やお酒で
梅酒作りを楽しんでくださいね。

「鍋にレシピなし」といわれるように
「梅酒作りにレシピなし!」です。

「梅酒作りにレシピなし!」
・・・って言われると、
この対談も終わってしまいそうですが(笑)

まだまだ続きますよ~

第五回「容器と保存について」

月向農園 園主 月向

さて、ここまでの工程、
つまり梅酒を仕込むところまでは、
けっこう気合が入るんですが、
作った後はそのまんま!
になりがちで(笑)

中野BC 梅酒蔵人 山本

いわゆる、
ほったらかしってやつですね(笑)

そういうとこ、
皆さん結構あると思うんですよ。

でも、本当はここからが梅酒作りの
腕の見せ所じゃないでしょうか。

はい。
せっかく仕込んだ梅と砂糖とお酒を
生かすも殺すもここからですよ!

そこで大事なのが、梅酒を
どんな容器に漬けて、
どう保存すればよいのか?
ですよね。

家庭で漬けるときは、
特に大事ですね。

容器を買いにいくと、
ガラス製のビンの他に、
プラスチック製の容器がありますよね。

あれは実際、どうなんでしょう?

作った梅酒を、
一年ぐらいで飲んでしまうのなら、
基本的に問題ないです。

ただ、プラスチックは
空気を通しますので・・・

そうですね。
2年、3年と熟成させる場合には、
向きませんよね。

はい、不向きですね。

長期熟成には、やはり
しっかり密閉できる
ビンの容器がいいですよ。

僕は漬けた後も、
ビンの中の梅の変化を眺めるのが楽しくて、
ついつい部屋の中でもよく見える所に
梅酒のビンを置いてしまうんですよ。

だいたいそんな場所って、明るいですよね。

ディスプレーとしての楽しみですね。
何が悪い、何が良いというものではなく、
とにかく「直射日光」だけでは避けてくださいね。

直射日光は、気温以上の温度を梅酒に与えてしまうんです。

そういう観点からすると、
部屋の中に置くなら、本当は透明なビンより、
茶色とかの色のついたビンが理想なんですけどね。

日本酒とかビール瓶がそうですもんね。

でも・・・売っていない(笑)

ええ(笑)

その「温度」のことなんですが、
部屋に置いておくと、特に夏場になると
気温が高くなるのでそもそも良くないですよね。

普通、保存といえば冷暗所ですし・・・

うーーーん、常温でいいですよ。

えっ?常温といいますと

温度が高いからダメというわけじゃなくて、
外気温の変化と同じような場所が良いですね。

気温が高くなったり低くなったりして、
自然の移り変わりとともに、育っていくというか
熟成していくのが良いですよ。

なるほど!勉強になります。
今の住宅事情だと、梅酒の保管場所に
悩まれる方が多いのですが、それなら安心ですね。

人間が普通に生活できる温度なら、
とりあえず大丈夫ということでしょうか(笑)

はい、そうですね。

じゃあ逆に、訊いちゃいますけど、
温度が一定だと、どうなんですかね?

極端な例ですが・・・
温度が常に一定の冷蔵庫とかは、ダメですね。

冷蔵庫に入れたままで保存すると、
「○×△+○÷△!?」になりますよ。

えっ!そうなんですか

「○×△+○÷△!?」になるんですか

実はこれ、後で質問しようと思ってたことなので、
もう一度、あとで訊いてもいいですか?

これについては後程、あらためて取り上げますので
今は「○×△+○÷△!?」にしておきます。
皆さんお楽しみに。

はい、どうぞ。

僕の場合、せっかく仕込んだ梅酒も、
倉庫の奥の方に仕舞い込んじゃうと、
今度はかき混ぜるのを忘れたりするんです。

はい、はい。

そういえば、あの梅酒どうなったっけ?
と、見にいったら、
ビンの底の方に糖分が溜まったかんじで、
梅の実は底の方だけシワがよって、
上の方はまだ丸々してたりします。

氷砂糖を使った場合なら、溶けるまでは、
一日一回ビンをやさしく回して、
混ぜてやってくださいね。

溶けるまで、毎日ですか?

はい。イメージとしてはビンの中で、
梅をアルコールにしっかり浸けたあと
徐々に糖類を添加して、
エキスを抽出してやるって感じです。

なるほど。
殺菌後、抽出ということですね。

では、砂糖が溶けた後は、
どうしたらよいのでしょう?

実のしぼみ具合をみながら、
また時々、混ぜてやると良いですよ。

イメージがよくわかりました!

なんだか今年は、
美味しい梅酒が出来そうな
気がしてきました。

仕込んだ後も、愛情を持って、
育ててあげてくださいね。

「実を取り出すタイミング」

月向農園 園主 月向

さて、いよいよ梅酒作り最後の仕上げ、
梅の実を取り出すタイミングについてですが、
これもいろいろ意見が分かれますよね。

中野BC 梅酒蔵人 山本

そうですね。
いろいろ分かれるところですね。

「2~3ヶ月で取り出す派」
「半年派」「一年派」
そして「入れっぱなし派」
と、まあ、それぞれ言い分があるわけですが。

はい、はい。

まずは、一番早い
「2~3ヶ月で取り出す」については
どうでしょう?

基本分量どおり仕込み、
ちゃんとアフターケアーをしていれば、
実のエキスは完全ではありませんが
ほぼ3ヶ月で抽出されますので
間違いではありませんね。

うんうん。仕込んだ後も、
放ったらかしにしないで(笑)
愛情を持って、育てた場合ですね。

でも、砂糖を少なくした場合は、
十分な期間とはいえないかも
・・・ですか?

えぇ。砂糖の量は、
エキスの抽出に影響しますからね。

ちょっと話はそれますが、
たまにね、
「我慢できずに3ヶ月で梅酒を
飲みきってしまったんです。
残った実は、どうしましょう?」
というメールをもらうんです。

どう答えているんですか?

「梅の実が、しぼんでいないなら、
焼酎と砂糖をもう一度足してみてください。
まだ実からエキスを絞れますよ。」
って、言っているんですよ。

たしかに(笑)、飲めますね。
でも、そういう方は6月にもう一本
漬けられたほうが良いと思いますよ。

ですね(笑)

さて、話は戻りますが、
「実を入れっぱなし」
というのはどうでしょう?

梅酒の色が多少濁ってきますし、
種の味も出てきます。
それに、実から抽出されたエキスが、
また実に戻ります。
実を食べるのが楽しいという方には、
合ってますよ。

種の有効成分が溶け出すので、
身体に良いという方も、
入れっぱなしですね。

ええ、家庭で漬ける場合、
「入れっぱなし派」が多いんじゃないでしょうか。

そうですね。
実が入ってると、見た目も楽しいですしね。

あと、毎年作る人は
ビンを使いまわしされる方も
多いと思うんですよ。

6月のシーズン前に取り出して、
そのビンに新たに梅酒を仕込むとかね。

そうなんですよ。
取り出して、すぐにその年の分を漬けるパターンです。

ビンの消毒の手間も省けますしね(笑)

ええ、実を取り出すタイミングは
そんな感じでよいと思いますよ。

色、味、香りのバランス的にも、
だいたい一年ってところですね。

はい。
あとは好みの問題だと思います。
「梅酒にレシピなし」ですから!

出たー、梅酒にレシピなし!
今度こそ、この対談も終わりになりそうなんですが、
「梅酒にレシピなし」ゆえに
不可解な現象の相談が寄せられてきます。

それを最終回で山本さんに訊いてみたいと思います。

お手やわらかに(笑)

第七回「よろず相談室」

月向農園 園主 月向

さて、最終回は、
梅酒についての問い合わせの中から、
気になる質問や、未解決の問題を、
山本さんと一緒に考えるコーナーです。

中野BC 梅酒蔵人 山本

はい(笑)
どうぞよろしく。

では、さっそく第一問!

「梅酒をカビさせてしまいました。
原因は何?どうしてでしょう?」

はい、はい。

「えっ!梅酒がカビるの?」
と意外に思うんですが、
こんな問い合わせが結構あるんです。

えぇ、最近多いですよね。

「水気が残っていたせいかしら?」
と自己分析される方もおられますが、
傾向としてアルコール度数が
原因の一つかと。

ええ。アルコール度数の低さに、
不十分な水切り、実のいたみ、
などの要因が加わるとカビますね。

砂糖のコーナーで取り上げた
水アメのような例もありますし。

最近、焼酎を買いに行っても
アルコール度数が25度が主流ですしね。

なかには、20度以下のアルコール度数で 漬けられる方もおられますよ。

アルコール度数が、35度以上あれば、
まずトラブルは起こらないんですがね。

カビなくても、第二問!

「梅酒が発酵しているんです。
 蓋を開けると、シャンパンのように
 ポンと音がするんです」

というメールもあります。

スパークリング梅酒?ですね(笑)

梅由来の酵母などが原因で
発酵することもありますよ。

あと、第三問!

「作って間もないのに
 梅酒が濁っているんです」

アルコール度数、水切りの問題以外にも、
砂糖によっても濁りやすいものがあります。

黒砂糖とか、すごく濁って見えますものね。

飲むと「黒砂糖で作っているな」
と納得するのですが、
見た目は、ちょっと引く感じですよね(笑)

あと、過熟の実(すごくやわらかい実)を
使った場合にも、果肉分の噴出しなどで、
濁ることも考えられますね。

なるほど。
質問のほとんどが、
電話やメールでの問い合わせなので、
実物を検証できないのが難点なんですよ。

話を聞くだけでは、再現はむずかしいですよね。

何度も申しますが、
アルコール度数が低い場合は、
くれぐれも気をつけていただきたいですね。

はい、キレイにまとまったところで、第四問!

「梅酒の色が色付きが遅くて、
 いつまでたっても濃い琥珀色にならないんです」

これはどうしてなんでしょう?

もしかして、
冷蔵庫の中で保存していませんでしたか?
って聞いてみてください。

冷蔵庫にいれておくと、濃い琥珀色にならないんですよ。

第5回から読んでくださった皆さん、おまたせしました!
これが「○×△+○÷△!?」の回答です

保存のコーナーで、ちょっと触れましたが、
「温度が一定だと熟成しない」
ということですね。

はい、その通りです。

もしかして、琥珀色にならない
梅の品種があるのかと思っていました。

あっけなく、問題解決ですね!

一件落着ですね。

どんどんいきましょう、第五問!

「梅酒を作ったのですが、
梅の実がピンクに変色してしまいました。
なにが原因でしょうか?」

これはどうでしょう?

うーーーん・・・・。
これはわかりません。

「実がピンク色になる方法」があれば、
逆に私も、教えていただきたいです(笑)

紅南高梅で仕込むと、
梅酒はピンク色になりますが、
このケースは、実がピンクですからね。
せめて画像でもあればよかったんですが。

ええ、
ぜひ見たかったです。

では、これは
このまま未解決ファイルですね。

はい。

最後にもう一問!

「去年の今頃漬けた梅酒なんですが、
 梅が沈みません。梅はシワシワになって、
 それなりに梅酒っぽいのですが、
 振っても沈みません・・・(ToT)。」

最初から、砂糖を
一気に溶かしてしまった場合に、
そのような傾向が見られますね。

一年経っても沈まないというのは、
これも再現が難しそうですね。

ええ。こういうケースは少ないと思いますよ。

砂糖の量が多い場合は、
液比重が重くなり、さらに沈みにくくなります。

甘めの梅酒を作るときは、
要注意ですね。

甘く仕上げたい方は、
最初にホワイトリカーだけで、一日漬けて、
翌日に、氷砂糖を入れ、
少しずつ、溶かしていくことをおすすめします。

なるほど。

でもまぁ、
通常のレシピから逸脱していない場合は、
同時投入して、少しずつ溶かすのが、
一番良いと思います。

ご回答
ありがとうございました。

いえいえ。

ページも長くなりましたので、
今回はこの辺で終わりたいと思いますが、
読者の方で、他に訊いてみたいことが
ございましたら、どしどしお寄せください。

また、山本さんに仕込んでいただいた
「月向農園梅酒」が
この8月から発売となります!

どんな仕上がりになっているのか
僕も、とても楽しみです。

蔵見学にお越しの皆様と、
中野BC・Webでの限定発売になります。
数に限りがございます。ご了承ください。

では、山本さん、
今日はありがとうございました!

こちらこそ、ありがとうございました。
また何かお役に立てそうなことが
ありましたら呼んでくださいね。

はい、
またのご登場を楽しみにしております。

「中野BC」web siteへ

「梅の月向農園」web siteへ

○●おまけ●○

中野BCさんのテレビCM。動く梅酒蔵人@山本さんと園主@月向です。
6月の梅の収穫時期に、月向農園の梅畑で撮影しました。